こんばんは、ヴィスタリアです。
宙組「アナスタシア」を観てきました。
my初日に続いて2階最下手側…他の場所からも、願わくばセンターから観たかったのですが
取れたチケットがここだったので仕方ありません。
後半日程には幸運にも当選したSS席の観劇も待っていますのでなんとか無事に全日程完走してほしいと祈っています。
宙組さんをSS席で観るのは初めてなんです。
自分の目と心臓が正気を保っていられるか甚だ自信はありませんが楽しみにしています。
さて。2回目の観劇の感想ですが独断と偏見と偏愛に満ちたもので作品の内容に大いに触れています。
名前というものが演出する最高のときめき
宝塚歌劇の「愛している」「好きだ」という直接的な言葉で愛を告げないシーンが好きです。
また同じくたまらないほどときめくのが本当の名前を告げるシーンです。
たとえば「ガイズ・アンド・ドールズ」のド派手なスーツを着こなす色男のギャンブラースカイ・マスターソンが
ひょんなことから仲間との賭けの対象にしたキリスト教団のお堅いサラ・ブラウンと出会って心惹かれ、
夜明けに別れがたくなり思わず…といったふうにこんなことを明かします。
(スカイ)オベディア。
(サラ)オベディア?
(スカイ)オベディア・マスターソン、本名だ。
初めて人に教えた。
スカイとサラの間に流れているものを互いが明確に意識して
名デュエット「はじめての恋」になります。
とても素敵な曲で、しかも曲中にサラ/映美くららの手のひらに衝動を抑えきれないままに口づけるスカイ/紫吹淳が大変なかっこよさと色気です。
(当時りかさんが大好きだったのでDVDも買い、いまだに見直してはきゃーきゃー言っています)
スカイというのは彼の気持ちのいい賭けっぷりから付けられた通り名であることが
ギャンブル仲間のネイサンのセリフでも明かされます。
スカイはギャンブラーでありながら教団のサラよりも聖書に詳しいことがわかる場面がありますが、
オベディアはユダヤ系の名前で
旧約聖書の預言者の名前とのことなので(wikipedia)
宗教的にわりと厳格なバックボーンがありそうです。
「アナスタシア」あなたは何者か?何と呼ばれている者か?
この名前を告げる開示から始まる関係性の変容を宙組「アナスタシア」でも感じて最高にときめいています。
1幕――レニングラードでディミトリ/真風涼帆の悪友たちに襲われたのをアーニャ/星風まどかが撃退した後、
ディミトリは自身の生い立ちを語りアーニャと街をめぐります。
彼の生い立ちは決して幸せとは言えないものですが、この街で身一つで知恵を働かせて必死で生き抜いてきた誇りのようなものがあります。
(ディミトリ)父親に肩車してもらって「フィンランドまで見えるだろう、ディマ」と言われた。
(アーニャ)ディマ?
(ディミトリ)父はそう呼んでいた。
そしていまは亡き父のことを「思い出さない日はない」とこの上のない愛をこめて語ります。
家族からの特別な呼び名と生い立ち、大切な家族への思いを聞いてアーニャはディミトリに秘密を明かします。
それはアーニャからのディミトリへの最大限の信用と信頼でしょう。
2人の関係はだんだんと変化していって、2幕のパリのクライマックスで幸せな結末を迎えますが
そのセリフにこの特別な名前が効果的に使われているのです。
(アーニャ)太皇女アナスタシアは許しませんよ、ディマ!
アーニャ自身が自覚した自分のアイデンティティと
ディミトリが大切な思い出として語った、この舞台で唯一アーニャが使う呼び名が短いセリフのなかにあって
幸せと愛をなんと効果的に伝えてくれることか。
自分が何者であるかを追い求めているアーニャの物語とhome,love,familyというテーマと
ディミトリとアーニャのロマンスが凝縮されていて最高の一言だと思います。
またこの前段階のアーニャが失った記憶、家族を取り戻すために長く危険な旅をしてマリア皇太后/寿つかさと対峙する場面でも
名前がキーになっていることがこの「ディマ」を一層意味深いものにしているのではないでしょうか。
(マリア皇太后)あなたのお母さまの名前は?
(アーニャ)私にとってはママよ!
マリア皇太后自信がアナスタシアに「ナナ」という特別な呼称で呼ばれていることもポイントです。
宙組の麗しい男役たち
1回目の観劇はストーリーと主要キャストを追うのに精一杯になってしまいました。
なので前回感想で書けなかった方たちについて触れさせてください。
宙組を観に行くと特に男役さんが長身揃いの美形揃いで目がいくつあっても足りません。
そして「アナスタシア」は役が少なくシングルキャストで宙組のスターさんたちの充実ぶりからすると
バイト、バイト、バイト…でフィナーレの階段下りがないのが少し寂しくも感じました。
ただこの作品の曲の難しさ、コーラスの美しさ、主要キャストのハマリ具合は今の宙組だからこそでもあります。
◆紫藤りゅう
コンスタンチン(ディミトリの悪友)を演じあちこちでバイトされています。
ロマノフ家の皇女たちと組んで踊る白い軍服姿はノーブルで美しく目を惹かれました。
一番好きなのは2幕のネヴァクラブのギャルソンセルゲイです。
こういう盛り場で生きているハッタリの強さと色気もあって、
同じ96期のリリー/和希そらと並んで踊っているときのキラキラの笑顔とオーラの眩しさといったら。
フィナーレでも目を惹かれました。
◆瑠風輝
もえこちゃんのニコライ2世の顎にたくわえたもじゃもじゃのお髭には驚きました。
髭も含めて立ち居ずまいもも威厳と高貴さも皇帝であり、
子どもたちに慈愛をもって接する深く大きな優しさは父親で壮年の男性をしっかり表現されていると思います。
幕開きの少女時代のアナスタシア/天彩峰里をダンスに誘うところなんて
正に美しい子供時代の夢のようでした。
長身に白い正装が映えて堂々たる皇帝に「まだ若いなあ」と思う瞬間がないのも頼もしく、
奥方アレクサンドラ皇后/美風舞良は上級生ですが違和感もなかったです。
まいらさんの迫力の美声もすごかった!
もえこちゃんも様々なバイトをされていますが
ボリシェヴィキの制服を着て控えているとビリビリするような威圧的な緊張感があって、またこの制服にも長身が映えます。
この軍部ではかなこちゃん(春瀬央季)とまりなちゃん(七生眞希)のクールビューティーな美貌も冴え渡っていて
なんてぴったりなキャスティングだろう…と見つめています。
◆鷹翔千空
レニングラードの街ではけっこう後ろの方にいることもあって1回目の観劇ではなかなか見つけることができず…ごめんね、こってぃ。
2回目はしっかり見つけてオペラで追いかけ気味に見ていました。
憂いを帯びたお顔立ちですでに男役として大人っぽくて完成された感じがあって魅力的だなあと思いました。
次は星風まどかちゃんのミュージックサロンにご出演なので
ライブ配信で見られるのが楽しみです。
◆イポリトフ伯爵/凛城きら
レニングラードからブタペスト経由パリ行の列車に乗り込む場面でのアカペラコーラスは胸を打たれます。
りんきらさんの歌いだしのソロもそこから重なっているコーラスもすばらしくて
涙せずにいられません。
次の観劇は少し先ですがまた感想など書けたらいいなと思っています。
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