こんばんは、ヴィスタリアです。
東京宝塚劇場で星組「1789 ーバスティーユの恋人たちー」を観劇しました。
ヴィスタリアの独断と偏見と偏愛に満ちた感想で、作品の内容に触れています。
前回に続いて役ごとの感想、まずは恋人たちからです。
マリー・アントワネット/有沙瞳、フェルゼン伯爵/天飛華音
民衆側の主役がロナン/礼真琴なら王族側の主役はマリー・アントワネット/有沙瞳でしょう。
前回の月組はトップコンビのまさおさん(龍真咲)がロナンを、ちゃぴちゃん(愛希れいか)がアントワネットを演じていましたからそうした対比を一層強く感じました。
この公演で退団するみほちゃん(有沙瞳)のアントワネットはこれぞマリー・アントワネット、こんなアントワネットが見たかったと、震えるほど感動しました。
また同時にこんな有沙瞳が見たかったという感動もわきあがってきました。
アントワネットの陶器のような白い肌、ロココの女王たるカツラ、アクセサリー、ドレス。
この世で一番美しい薔薇がいま、星組の舞台で盛りと咲いています(♪薔薇は薔薇は薔薇は~♪)
「全てを賭けて」の歌唱の艶っぽさ、ギャンブルに興じる高慢さと空虚さ、無知で無垢な王妃。
三部会につめかけた民衆たちと自分の道ならぬ恋を重ねて「彼らと同じね」と言ってのける愚かさ、蒙昧さ。
愛するアクセル/天飛華音に少女のように恋する愛らしさと、
息子を失って母として涙にくれ、やがて王妃としての務めに目覚めて歌う「神様の裁き」。
愛とプライドに目覚めたアントワネットは、質素なドレスで宝石も身につけていませんが、この透明感と真の美しさと言ったら。
涙せずにいられませんでした。
そしてハンス・アクセル・フォン・フェルゼン/天飛華音、かっこよかったです。
そりゃあアントワネットだって恋してしまうわ…とカノンくん(天飛華音)の凛とノーブルな軍服姿を見ながら思いました。
王妃を思っていることもひしひしと伝わってきて、渾身のフェルゼンでした。
この二人を見ていると、台詞のやり取りが多いこともあって「このままベルばらでも見られる…いや見たい」と思う瞬間が何度もありました。
「許されぬ愛」は今回オランプが歌っていましたが、この曲は道ならぬ恋に苦しんでいるアントワネットとフェルゼンの方が合うような気はしました。
いろいろと事情はあるかと思いますがフェルゼンのソロ歌唱がまったくなくなってしまったことは残念な気がします。
デムーラン/暁千星、リュシル/詩ちづる
初演では若きフェルゼンだったありちゃん、すっかりいい男役になって…。
三人の革命家たち(ロベスピエール、デムーラン、ダントン)の個性の違いが際立っているのが好きなのですが、
ありちゃん(暁千星)のデムーランは一番温厚そうで話し合い重視かと思いきや「武器を取れ」なんですよね。
革命に燃えているデムーラン、声が大きくて歌声も朗々と、ダンスはキレキレの長身が舞台映えしてかっこいい!
同じ98期のぴーすけ(天華えま)と対になったり歌っていると、二人してうまいし声がデカいものだからうれしくなってしまいます。
リュシルのうたち(詩ちづる)のなんとかわいらしいことか。
デムーランのお相手で知的でいい育ちなのが自然と伝わってきます。
劇中でもエトワールでも美しい歌声を響かせています。
新人公演ではオランプを演じますが今から楽しみです。
前宙組トップ娘役かのちゃん(潤花)からヒガシマル醬油のバトンを受け取ったうたち。
劇場で看板を見られたのもうれしかったです。
ダントン/天華えま、ソレーヌ/小桜ほのか
革命家の中でもっともフィジカルが強いのはダントン/天華えまですね。
名門ル・グラン学院出身のロベスピエール/極美慎、デムーラン/暁千星とは違うのがぴーすけの佇まい、体の動かし方からわかります。
「サイラ・モナムール」だったと思うのですが下手側で膝を落としてリズム刻んでいるときの動きがもう最高です(他にも数多あるのですが、覚えきれず…すみません)。
選ぶ彼女ソレーヌ/小桜ほのかも娼婦なわけですし…。
ダントンとソレーヌが寄り添っていると、大人な恋愛をしているカップルなのが二人の空気や抱きしめ方からわかって、
婚約しているデムーラン/暁千星、リュシル/詩ちづるとの対比が「バスティーユの恋人たち」でとても好きです。
ダンスもうまくて歌唱もいいぴーすけの滑らかな歌声も大好きです。
ソレーヌ・マズリエのあいこちゃん(小桜ほのか)、すごかった…。
ただそこにいるだけで、一歩歩くだけで、ソレーヌがそこにいるんです。
歩き方、やや前かがみになった肩、革命に立ち上がったとき踏みしめる脚の力強さ。
農民の娘としてのソレーヌの生き様が自然と伝わってきます。
友人になったというリュシルと並ぶと違いがよくわかります。
そして「夜のプリンセス」の感情がほとばしった歌唱。圧巻でした。
その他の役たち
■アルトワ伯/瀬央ゆりあ
いつも星組観劇で楽しみにしていたせおっち(瀬央ゆりあ)が、劇場中を幸せにして楽しませてくれたせおっちが、この公演を最後に専科へ組替えとなります。
専科だからこその新たな活躍が待っていると言いきかせながらも寂しさはぬぐえません。
赤い髪に濃いめのお化粧が綺麗で妖しくて、アダルトな色気があっていいですね。
特に前髪を大きく立てているのが似合っていてとても好きです(「Gran Cantante!!」のNINJIN娘も大好き)。
「私は神だ」、セット、映像も相まってとてもかっこよかったです。
歌唱指導ではせおっちの愛がいっぱいでジーンとし、指揮の西野淳先生のはからいか捌け際にた~くさん拍手できるのにもジーンとしました。
■ロベスピエール/極美慎
配役が発表になったときはしんくん(極美慎)がロベピというのは意外で、驚きました。
が、全国ツアー「バレンシアの熱い花/パッション・ダムール・アゲイン!」がものすごくよくて、スターとして一回りも二回りも進化している瞬間を目の当たりにし、俄然楽しみになりました。
そしてしんくんのロベピ、ものすごく好きでついついオペラでおいかけがちでした。
長身でスタイルのよさに目が引かれるのはもちろん、革命を経て恐怖政治へと突き進んでいくマクシミリアン・ロベスピエールの危うさ、瞬間的に発露する苛烈さ、冷たさを纏っていたからです。
二幕冒頭「誰のために踊らされているのか」のナンバーもいいですねえ。
my初日は1階通路側で、しんくんを先頭にする客席おりを浴びてきましたが、
あまりの美に言葉を失って「!!!!」となり、大きな拍手を送りました。
■ペイロール/輝月ゆうま
黒い革の手袋と鞭がこうもしっくりと似合う男役がいるでしょうか。
まゆぽん(輝月ゆうま)の177cmの長身、体格のよさが拷問もいとわない力の気配を感じさせてくれて、ぴったりな配役だなと思いました。
まゆぽん、歩き方からしてラザール・ペイロールという力、暴力を手にしていて、
たぶんちょっと拷問とかで嗜好を満たしているのだろうな…という想像をかきたてられました。好きです。
まゆぽんの歌が安定しているので、要所要所で舞台が締まるのを感じました。
パレードでは同じ95期のいえちゃん(紫りら)と並んでいるのもうれしいです。
■シャルロット/瑠璃花夏
パレ・ロワイヤルの落とし子、「パリのことならなんだって知っている」と豪語する少女です。
もうね、このちなちゃん(瑠璃花夏)が体を目一杯使っているのがかわいいのなんのって。
舞台から捌けるときのポーズ、走り方、全部かわいいです。
ちょっとコミカライズされているほどキャラが確立していますがわざとらしくないのが巧いなあと思います。
新人公演ではマリー・アントワネット、とても楽しみにしています。
■ラマール/碧海さりお
今回一番、これまでと印象が変わったのはちゃりおくん(碧海さりお)かもしれません。
コミカル要素が強くてわちゃわちゃしたところのある役ですが、それがうるさくなくて、かといってつまらないこともなく、
客席いじりのアドリブも自然、そして台詞がとても聞きやすいです。
新人公演主演も経験して、中堅スターさんとしてものすごく心強い存在になっていることを感じました。
手下のロワゼル/稀惺かずと、トゥルヌマン/大希颯も溌溂と、かわいかったです。
以上、観劇の感想でした。
星組の渾身の舞台「1789」次の観劇が早くも楽しみです!
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